「最初に地球儀を作ろうと考えたのはいつですか。」10年くらい前で、子どもが小さかった頃です。長女に「フランスってどこ?」と訊かれたときに、とっさに答えられず、もどかしさを感じたことがありました。

そこで、私は家庭用に地球儀を買おうと探しましたが、一般に売られている地球儀は、一様に硬かったんです。プラスチック製の地球儀は、もっと大きいお子さん用として売られていましたので、赤ちゃんや幼児にとっては危なくて、、。マグネット式のパズルもありましたが、これはピースが小さく、取っつきにくく、保護者がつきっきりで見ていないと誤嚥の危険性もあり、結局どれも買えませんでした。

 

「それで、自分で作ろうと思ったんですか。」はい。私は幼い子どもでも安全して遊べる地球儀が欲しかったので、市場にないのであれば作ろうと思い、制作を思いつきました。結局、発案から10年も経ちましたが、幼いお子さんでも扱いやすいようテレットの地球儀は柔らかい素材でふんわりと仕上げることができました。ただ、赤ちゃんや幼いお子さんには窒息やその他の事故の危険性が常にありますので、その点には十分気をつけていただきたいです。

 

「完成までには何年かかりましたか。」実際に制作を開始したのが、20216月で、発売開始が20242月です。28カ月、これは純粋に制作にかかった年月です。

 

「イラストはデザイナーさんにお願いしたのですか。」はい。私はデザインが全く分かりませんので、プロのデザイナーさんにお願いする必要がありました。ランサーズというサイトで、幸い2名の素晴らしいデザイナーさんに巡り合うことができました。1名はヨーロッパ在住の日系の方です。その方には匿名で、と言われてしまったんですが、素敵なオリジナルのイラストを描いてくださいました。もう1名は、東京の高安来夢さんという方で、ヨーロッパのデザイナーさんが描いてくださった原画を調整してくださったんです。北欧風にほっこり、ナチュラルな雰囲気で取っ付きやすく編集してくださり、とても助かりました。また、高安さんは、パッケージ、広告、HP作成など、このプロジェクトのほぼ全てのデザインを担当してくださいました。加えて、高安さんは聡明かつ的確で、いつも必要なアドバイスをしてくださいました。正直、高安さんがいらっしゃらなければ、このプロジェクトの商品化は難しかったと思います。

 

「一番大変だったのは何ですか。」各地域に相応しい事柄を選ぶのが大変でした。これ選んでいいのかな、あれ選んでいいのかな、、と迷いました。現地の人にとっては、「これは有名だけど、ちょっと違う」というものを選んでしまったらどうしよう、世界情勢を加味しなきゃ、宗教的なものは避けなきゃ、と考え込んでしまい、一年程作業がストップしてしまいました。最後は高安さんにお願いして、さくっと適切なものを選んでいただけました。

「原画から生地選びまで、すべてオリジナルですか。」はい。すべてオリジナルです。ただ、当初のデザインから微妙に改変していって、生地の材質を変えたり、デザインも少しずつ変わっていきました。私は凝り性なので、何か気になってしまうと、もう最初から全部やり直したくなるほどですので、イラストの差し替えは何度も行って頂きましたし、見えやすい字体と布の相性を探るために、印刷も何回も何回もお願いしました。やっと、今の形で落ち着いたかなという感じです。

「試作品はお姉さまがお作りになって、そこから形にしていったのですよね。商品をたくさん手作りするうえでは、今後は職人さんを順次雇っていくイメージですか。」私は裁縫も苦手なので、姉が発案当時から歴代の試作品を作ってくれました。数としては数十個になります。現在は、作る数が増えてきたので当然姉だけでは間に合わず、サイトを通して職人さんを募集しています。

「今後も改変を続ける予定ですか。」はい。実際に販売を開始すると、たくさんの方からご指摘をいただくと思います。そのご指摘をひとつひとつ検討し、テレットがより魅力的な商品となるように改善を続けていきたいと思います。

 

 

「テレットのロゴにはどんな想いが込められていますか。」地球を抱きしめているようなイメージで、高安さんが考えてくださいました。子どもが地球を抱きしめ、柔らかく包み込んでいる姿を現していて、商品のイメージとぴったりだと思いました。

小さな地球を子どもがぎゅっと抱きしめているイラストには、かけがえのない地球を身近に感じ、好きになり、大切にしてほしいという想いを込めました。このロゴもデザイナーの高安さんが考えてくださったもので、テレットのイメージにぴったりでとても気に入っています。

 

「商品をお届けしたお客様には、どんな気持ちになってほしい、どんなふうに使ってほしいという希望はありますか。」テレットは贈答用としての販売を考えています。贈り物としてもらったときに、うれしい気持ちになっていただきたいです。さらに、可愛いイラストから各地のイメージが広がって、地球のワクワク感や楽しさも感じていただけると最高です。

もちろん、世界中がぜんぶ平和で楽しいというわけではなく、現実には暗い出来事もたくさんあります。そんななか、テレットはあえて「ザ・ご当地」のような食べ物、動物、建物、人物を集めました。多少偏見が入っているかもしれませんが、「ガーナといえばチョコレート」とか、「ハワイといえばフラダンス」のように、定番のイラストを多数盛り込んでいます。テレットは知育玩具ですので、(見ていて楽しい)から、(あそこに行ってみたい)という興味を引き出し、また(これは何だろう)と探求心をくすぐるきっかけになってほしいです。

「最後にひとこと。」

毎日忙しく、ゆっくりするお時間がない方もいらっしゃると思います。でも、日常に抱きしめられるものや、見て可愛いなって和めるものが家の中に一個あるだけで、すごく救いになると思います。ぜひ、柔らかい布製の地球儀テレットをぎゅっと抱きしめていただき、ほっとしていただきたいと思います。

ー 制作者 ー

Sachiko Hamagami

1981年12月6日生まれ。大阪府出身。ミネソタ大学モリス校心理学部卒業。二児の母。英会話講師。布製の柔らかい地球儀の制作を発案、テレットの完成に至る。日本やアメリカにテレットを販売するため、2024年1月、株式会社テレットを創業。
2024年2月、アマゾンにて販売開始。
2024年10月1日現在、約90個販売。

Ramu Takayasu

グラフィックデザイナー。1991年4月10日生まれ。東京都出身。女子美術大学卒業後、編集制作会社・フードグラフィックデザイン会社を経て2019年長女出産を機に独立。現在はフリーランスとして活躍中。二児の母。

「初めてテレットのお話しをいただいたとき、とても素敵なアイディアだと共感しデザインを担当させていただきました。
それぞれの地域にどんなイラストを入れるか、どんな布だとさわり心地がよく印刷が綺麗か、どんな色味だと見ていて心地よいかなど、濵上さんと試行錯誤を繰り返しテレットを創り上げました。

テレットを通して世界にもっと興味を持って貰えたら、楽しんでいただけたら嬉しいです。」

TOP